「理科系のための英文作法」杉原厚吉著理科系のための英文作法―文章をなめらかにつなぐ四つの法則 (中公新書)作者: 杉原厚吉出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1994/11/01メディア: 新書購入: 22人 クリック: 241回この商品を含むブログ (32件) を見る

ヲタだとか、モテナイだとか言われ、挙句の果てにはよく分からないヒトにワケの分からない恋愛論をぶたれたり、モテナイのは問題解決能力が高いからだ、なんて的外れなことを言われてしまい、すっかり特殊なイキモノ扱いの理系のワレワレ。しかし、モテなくてもオタクでもチビでもデブでもハゲでも論文は書かねばならない。英語で。
初めて論文を投稿した若かりし頃のワタシは、「是非ともネイティブに添削してもらうこと」というありがたい言葉をレフェリーから頂いたわけだが、ない袖は振れない。身近にネイティブなんていなかったし。困ってしまったワタシに当時の指導教官が渡したのがこの本。これ読んでからはレフェリーからありがたい言葉を頂くことはなくなったので一定の効果はあると思われる。ちなみに本書を渡してくれた指導教官が共著者だったにもかかわらず、何故英語をレフェリーに注意されることになったかと言えば…渡された本は第一章とあとがき以外に読んだ形跡がなかったんだなこれが。
閑話休題。本書ではコンピューターによる言語解析の手法と談話法規則を用いて、文をつなぐ技術について解説されている。論文ってのは伝えたいことが誤解されずに正確に伝わること、また読んでもらえることが大事なワケで、読者をおかしな世界に連れていってため息つかせないためにも見通しのよい筋道だった英文を書く必要がある。ここではオサレな英文を書くよりも誤解されない安全な英語を書くコツがまとめられている。特に日本人は therefore と then を使いすぎる傾向があるのでそういうのを矯正するにはいいだろう。というか、この本に書いてあることって別に「理科系のための」ってことではなく一般的なことだと思うのだけどもん。
ちなみに基本的な文法がわかってない場合や、そもそも日本語で論文かいてもむちゃくちゃになってしまうヒトは文の繋ぎ方以前の問題なので、英語と作文の勉強をがんばってクレ。

おべんきょ

並列計算のノードが一個死んでるっぽい。そして計算機の管理者はお休みのようなのでいかんともし難い事態。なんとなくけんきうに集中できず今日はおべんきょに充てる。何しろワタシは数値流体について知らな過ぎるのだ。
Riemann Solvers and Numerical Methods for Fluid Dynamics: A Practical Introductionつーことで、読みかけの Riemann Solvers and Numerical Methods for Fluid Dynamics をヨミヨミ。数式を適当にノートで追いながら読んでいたらなんだか思っていた以上に進んでいない。あれ〜? 10p くらい先を読んでたと思ったのにぃと疑惑を抱きながらも読むとなんだかもういじくったはずの数式がでてきてあらら。
こーひー飲んでるすきにページがめくれていたっぽい。2, 3p 読み進むまで気づかない馬鹿。

テロリストのパラソル

M1 の時に夏の学校会場に行く途中、豪雨で遅れた電車を待つ際にキオスクで買ってあっという間に読んだ。この間別居人ちゃんが持ってきたので再読。
分類するとしたらハードボイルド小説ということになるだろう。ハードボイルドの定義は知らないが、主人公のキャラだけでなく文体がハードボイルド。馳星周やなんかのインチキハードボイルド作家には是非とも見習ってもらいたい。
ストーリーには若干ご都合主義だし、ミステリーとしては陳腐なのだけど、そのようなことを気にさせず一気に読ませる筆力は圧巻。文章がうまいってのはこういうことを言うのだと思う。

「APPLESEED」

イノセンスと比較されることの多いこの作品。士郎正宗の原作は読んだことない。
モーションキャプチャーが気持ち悪いとか、原作と違うとか散々な評判だけど、ゲームのデモだと思ってみてればそれほど気持ち悪くない。ストーリーが古いのも原作が古いのだから仕方がない気がする。
表情がかなり気持ち悪いのだけど、これはきっと瞬きが目立つから。リアルにしようとして失敗してる感じ。まあでもゲームのデモだと思えば。
話のテンポと音楽はいいのでそれなりに楽しめる。もう一度見たいとは思わないが。多分に実験的なアレなので、イノセンスと比較するのはちょっとかわいそうかな。そこになんとかワールドが展開されてるわけでもないし。

「イノセンス」

前作 Ghost in the shell (攻殻機動隊)の続編。前作を見てないとつらいかも。始めに言っておくと、押井守はかなり好きだ。あのどうしようもない原作の攻殻機動隊士郎正宗)の設定だけもってきて前作のような作品に仕上げるなんてスゴイと素直に思う。
今作では、「何故人間は自分に似せた人形を作りたがるのか」ということから人間と人形の違いは何か(そもそもあんのか)というテーマをゴリゴリと押井節で見るものに押し付けてくる。こーゆーテーマをしっかりとストーリーに乗せて見せられる才能は流石。余談だがワタシは「ニンゲンなんてただの有機ロボットよん♪」と主張して切支丹や回教徒の方々に猛反発をくらったことがある。おそらく彼らにとってニンゲンは魂(Ghost in the shell で言うところの ghost ねん)を持つ存在として人形とは明確に区別されるのだろう。
問題はいつものことながら押井ワールドが炸裂すると展開がマッタリしてしまうこと。炸裂した場合の最悪の例が Avalon と言えるかと。要するに祭りのシーンとかイラネと。ストーリーにもテーマにも関係ないじゃないか。エンターテイメントとしては全体的にもうちょっとテンポが欲しい。眠くなる。個人的には押井色の無いテレビシリーズの STAND ALONE COMPLEX や S.A.C. 2nd GIG の方が好み。
あと、トグサの娘がトグサに似すぎで気持ち悪い。余計なリアリティーはいらない。

「マークスの山(上・下)」高村薫

別居人ちゃんが持ってきたのを読んだ。高村薫をちゃんと読むのはこれが初めて。感想は読みづらいの一言に尽きる。
犯人はいきなり分かる、そして事件の裏にあるのは陰謀と言うほどのこともない些細なこと。些細な過ちが引き起こすアレコレを書きたかったのかも知れないが、途中から警察組織と警察内部の人間関係が執拗に描かれているのでそういうことでもなさそう。刑事同士がニックネームで呼び合う様は西部警察
やたらめったら登場人物が多いため人物の描写は浅く、マークスの犯罪の裏にある動機も分からぬまま放置ぷれい。最後にきれいな富士山見せておけばいいだろう的ないい加減さ。
結局のところ、著者が書きたいものを読者のことを考えずに詰め込んだ結果がこの読みづらさ、浅さ、退屈さに繋がるのだろうし、それはきっと高村薫という人の特徴で、ワタシがこの人の作品を手に取ったことはあっても今までちゃんと読んだことがなかった理由もそこら辺にあると思われる。
著者の自己満足に付き合うのが好きな方にはお勧めの二冊(上・下)。